口腔衛生学会雑誌
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永久歯齲蝕罹患の性差に関するコーホート研究
片山 公平高橋 義一
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1979 年 29 巻 2 号 p. 112-122

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抄録

齲蝕罹患傾向の性差を厳密に把握するためには, 主として萌出後の国民1人当り年間砂糖消費量 (pと称す) が一定値に安定している時期の歯種別のコーホート資料を萌出後歯牙年齢で観察しなければならない。
筆者らは, 静岡市内の小学校, 中学校の児童について昭和45年度から3~6年間, 1人の診査医によりWHOの齲蝕の基準によって診査し, p≒27kgに安定時の永久歯の歯種別の男983人, 女778人のコーホート資料について, ヒト年齢および萌出後歯牙年齢により当初萌出100歯当り累積齲歯数 (ΣCx) について性差を比較した。
その結果, 萌出後歯牙年齢によるΣCxは, 罹患傾向の高い歯種において, 萌出後歯牙年齢の早い時期に女は男より有意に高かった。このことは, 齲蝕罹患傾向は女は男より高いが, その程度は僅かであることを意味していると考えられた。

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