口腔衛生学会雑誌
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ソジウムモノフルオロフォスフェート含有歯磨剤による牛歯エナメルへのフッ素とり込みに関する研究
高橋 昭記荒川 浩久浅井 康年飯塚 喜一
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1981 年 30 巻 5 号 p. 432-442

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抄録

モノフロを配合させた歯磨剤からのフッ素のとり込み量を, 牛の下顎前歯を使って測定した。
はじめに, モノフロをフッ素として1000ppm含む歯磨剤409と水409の1: 1の懸濁液中へ, 牛歯10本を37℃, 2時間処置した。
フッ素濃度を測定する為の歯牙のEtching法として, 不織布法を採用し, 連続的に表層よりEtchingを行なった。
対照として, フッ素処置しない牛歯10本も同様にEtchingして, フッ素濃度を測定した。
その結果, モノフロ含有歯磨からのフッ素uptakeは, エナメル表層より6μ程度に限局され, その量は2μで1200ppm, 3μで900ppm, 4μで600ppm, 5μで500ppm, 6μで300ppm程度であった。 (Fig. 1)
第2の実験として, モノフロ水溶液からの牛歯エナメルへのフッ素とり込みに対する, 歯磨剤に使われる主要な研磨剤5種の影響度合いを検討した。
その結果, 非カルシウム系の研磨剤である不溶性メタリン酸ソーダ, シリカが, 研磨剤を加えなかった水のみのもの (control) とほぼ変らないフッ素とり込み量を示し, これらがフッ素とり込みを妨害しないことがわかった。
一方, カルシウム系の研磨剤である炭酸カルシウム, 第2リン酸カルシウム・2水塩は, フッ素とり込みを大きく妨害することが判明した.
以上のことから, たとえモノフロ・カルシウムが水に比較的可溶であっても, モノフロを歯磨剤に配合するときには, 非カルシウム系の研磨剤を使った方が, 良い結果を示しうることが示唆された。

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