口腔衛生学会雑誌
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人型及びラット型Streptococcus mutansのラットにおけるcariogenicityの相違について
佐藤 誠尾崎 文子岡田 昭五郎鶴水 隆大西 正男
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1981 年 31 巻 2 号 p. 131-136

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抄録

Streptococcus mutans 10449株 (人型) とRC-20株 (ラット型) の各々から, 変異誘導物質を用いた誘発変異によっで, 菌体外多糖体産生能の高い株 (phase I) と低い株 (phase III) を分離し, これら4菌株の口腔内定着性とcariogenicityをラットを用いた動物実験によって検討した。硫酸ストレプトマイシン前処理により口腔内常在細菌叢を抑制し, 離乳したラットを4群に分け, 口腔内に8日間各菌株を接種し, 6PMVを与えて30日間飼育した像, 臼歯裂溝部に発生したう蝕の評価を行なった。菌の定着率はいずれの菌株でもphase Iの方が高く, 10449株phase IとRC-20株phase Iの間には差は認められなかった。しかしRC-20株の方が10449株よりもラットに対するcariogenicityの高いことが認められた。10449株ではphase Iの方がphase IIIよりcariogenicityが高かったが, RC-20株では, phase I接種群とphase III接種群の間にはう蝕発生状態に差が認められなかった。RC-20株phaseIII接種群の接種菌定着率は最も悪く, この群のみに菌接種の翌日からラットの口腔内に常在するラット型Str. mutansが出現するようになり, このStr. mutansがRC-20株phase III接種群のラットにう蝕を発生させたと考えられた。Str. mutans10449株とRC-20株に対するラット血清の凝集価は, 各群とも同様な値であった。

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