口腔衛生学会雑誌
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乳歯エナメル質に取り込まれたフッ素め経時変化
飯島 洋一
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1981 年 31 巻 2 号 p. 137-150

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抄録
乳歯エナメル質にAPF溶液を1分から5分間塗布したのち, エナメル質に取り込まれるフッ素が口腔内で時間の経過とともに変動する状態を検討した。 塗布後のエナメル質フッ素濃度は24時間までは口腔内で急速に減少するが, 24時間以降48時間までのフッ素濃度の減少は少なかった。 48時間後の第1層のフッ素濃度2,000~3,500ppmは1カ月後も保持され, しかも対照群のフッ素濃度に比較して統計学的に有意に高かった。 対照群に比較して統計学的に有意に高いフッ素濃度は, 1分間塗布群は第1層, 2分間塗布群は第1層と第2層, 3分間塗布群は第1層と第3層, 5分間塗布群では第1層から第3層にまでおよんでいた。 これに対して第4層から第6層にいたる内層のフッ素濃度については, 48時間後には対照群との間に有意差を認めえなかった。
乳歯エナメル質のCa溶出量は, APF溶液の塗布により対照群の約1/2に減少したが, 塗布時間を1分から5分に延長しても塗布群問のCa溶出量に明らかな差は認められなかった。
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