1983 年 32 巻 5 号 p. 464-469
Str. mutans mutatienal phase III株は, 動物実験において, う蝕抑制効果のあることが認められた。ハムスターを用いた実験では, 口腔内にmutational phase Iとphase IIIを投与すると, phase Iの増殖が阻害され, その結果phase Iによるう蝕誘発が抑制された。ラットを用いた実験では, ラット由来のStr. mutansより生じたphase III株は, ラットに常在するStr. mutansの増殖を阻害する傾向が認められ, う蝕誘発に対する抑制効果のあることが明らかにされた。しかし, 人由来のStr. mutansより生じたphase III株には, う蝕抑制効果が認められなかった。したがって, Str. mutansとその宿主の間には, 特異性の存在することが示唆された。