口腔衛生学会雑誌
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練歯磨の味覚神経反応におよぼす影響
杉原 邦夫万野 賢児
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1983 年 32 巻 5 号 p. 470-473

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抄録

電気生理学的手法を用いた練歯磨の味覚におよぼす影響の検索を日本歯磨工業会から依頼されたため, 本実験を実施した。
Sprague-Dawley系雄性ラット22匹を用い, 基本的四味溶液をラット舌に投与した時, 舌からの味情報を伝える鼓索神経に出現する神経反応を生体電気現象用増幅器 (三栄測器, 1243), 多用途積分器 (三栄測器, 1310) およびペン書きオシログラフ (三栄測器, Rectigraph-8S) を介し, 測定記録した。この基本的四味溶液による神経反応への作用から練歯磨の味覚におよぼす影響を検討した。
基本的四味溶液として, 0.1M塩化ナトリウム, 1.0Mショ糖, 0.05M酒石酸, 0.005M塩酸キニーネを用いた。
基本的四味溶液を舌に投与した時生じる鼓索神経反応を練歯磨溶液投与後120分間に亘りくり返し測定し, 練歯磨投与前に出現した神経反応と比較した結果, 練歯磨溶液投与後塩酸キニーネ, 塩化ナトリウムおよび酒石酸投与による味覚神経反応は抑制され, 特に塩酸キニーネの神経反応に対する抑制作用は著明で長時間持続したが, これらの抑制作用はいずれも回復性の作用であった。
ショ糖の神経反応に対して練歯磨溶液は著明な作用をおよぼさなかった。

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