1983 年 32 巻 5 号 p. 474-479
口腔由来のstreptococci (BHT, HHT, FA-1, Rc-10, Rc-14: 以上齲蝕原性; およびCHT, Rm-15, Rm-71の各株) をショ糖を含む培地で培養すると, 粘稠な菌体外多糖類を生産した。何れの多糖類もα-1, 6-グルコシド結合を有し, Chaetomium gracileのDextranaseによって分解されてその粘度が低下したが, α-1, 6-結合の量とDextranaseによる被分解性には厳密な相関性は見られなかった。
齲蝕原性株, および非齲蝕原性のCHT株を用いてステンレスワイヤ上に人工歯垢の形成を試みたところ, 菌体外多糖類の粘度の高い株ほど人工歯垢形成能も高かった。得られた人工歯垢にDextranaseを作用させると, 歯垢は分解されてステンレスワイヤ上から剥離したが, この現象はヒト由来のBHT, HHTおよびCHT株の歯垢において特に効果的に認められた。