口腔衛生学会雑誌
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上下顎第一小臼歯の歯冠部における黄色線と螢光線条の出現状況に関する研究
テトラサイクリン系抗生物質の生産量との関連について
白戸 勝芳島田 義弘
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1983 年 32 巻 5 号 p. 480-488

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抄録

上下顎第一小臼歯の歯冠部におけるテトラサイクリン系抗生物質由来の黄色線と螢光線条の出現を調査するため, 1961~68年に出生した60名の歯列矯正治療患者から得られた, 肉眼的に健全な124第一小臼歯で, 頬舌的に連続未脱灰研磨標本を作製し, 生物顕微鏡 (×20) と螢光顕微鏡 (×13.2) を用いて観察した。又, 線の発現とわが国のテトラサイクリン系抗生物質の国家検定量との関係を調査し, 次の結果を得た。
1. 象牙質内の黄色線と螢光線条の出現者数は60名中35名 (58.3%), 52名 (86.7%) であった。又, 一人平均出現数はそれぞれ2.22本, 5.92本であった。
2. エナメル質内の螢光線条の出現者数は60名中20名 (33.3%) であり, 一人平均出現数は0.75本であった。
3. 被検歯の歯冠石灰化時期は, テトラサイクリン系抗生物質の生産量が約25トンから100トンに急増した時期であった。
以上の知見より, わが国では, 1960年代後半から1970年代前半に, 石灰化が開始した歯に, かなり高率に黄色線や螢光線条が存在すると推定された。

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