口腔衛生学会雑誌
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“ポナールキット®-F”を用いた尿中フッ素測定法について
笠原 香近藤 武
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1983 年 32 巻 5 号 p. 489-492

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抄録

現在尿中フッ素の測定は方法の簡便さなどからフッ素電極が多用されているが, 今回微量拡散前処理によるLa-ALC吸光光度法により尿中フッ素濃度を測定し, フッ素イオン電極法による測定値と比較検討した。
フッ素定量にはLa-ALC法を原理とした水質中フッ素測定用キット“ポナールキット®-F”を用い, これに吸光光度法を併用したところ0.5-4.0μgの測定が可能であった。
尿中フッ素分離のための微量拡散は放出試薬にHexamethyl disiloxane飽和2.7M過塩素酸, フッ素捕集には0.5M水酸化ナトリウムを用い濾紙に吸着させた。尿へのフッ素添加による回収率試験では2時間の拡散で100%の回収を得た。
成人の随意尿30検体につき微量拡散法によりフッ素分離後, “ポナールキットF”を用いて尿中フッ素濃度を測定したところ, 0.30±0.15ppm (mean±S.D.) であり, 同一検体をフッ素イオン電極法で直接測定した値とよく一致した結果が得られた。
微量拡散前処理後“ポナールキットF”を用いた尿中フッ素測定法は, 多数試料の測定に適しており, フッ素イオン電極法と同等な精度を有することが示された。

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