口腔衛生学会雑誌
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保育園児における乳歯齲蝕と食習慣および刷掃習慣との関係
田浦 勝彦島田 義弘
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1983 年 32 巻 5 号 p. 493-503

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抄録

刷掃習慣と食習慣の二因子の齲蝕に及ぼす影響を明らかにするために本研究を行った。1~6歳の仙台市内保育園児1,842名を対象に齲蝕と歯垢付着の診査を行い, これらと質問票 (Fig. 1) から得られた両習慣の成績を統計学的に検討し, 次の結果を得た。
1. 好ましくない食習慣を有する幼児, 即ち食欲のすくない, 食べものの好き嫌いのひどい, 就寝前の間食摂取および間食の所要時間の長い者は1~6歳に増齢的に増加した (Tables2, 3, 5, 6)。
2. 好ましくない食習慣を有する幼児の平均deftはその反対群より多く, その間の差はしばしば統計学的有意だった (Tables3~6)。
3. 刷掃習慣の有無による影響を付加した検討から, 齲蝕有病状況は刷掃習慣よりも食習慣に左右されていると考えた (Tables7~9)。
4. 良好な食習慣を有する群の上顎前歯部の歯垢付着は, 反対群のそれより少なかった (Tables10, 11)。しかしながら, 刷掃習慣の有無による群別を付加して検討したところ, 歯垢付着は食習慣に関係なく, 刷掃習慣群が非刷掃習慣群より統計学的有意に少なかった (Tables12, 13)。

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