1983 年 32 巻 5 号 p. 504-510
乳幼児・小児204名, および成人109名の歯垢から不溶性グルカンの産生の少ないS. mutans 9株を分離した。この菌株は既知のS. mutansから人工的な誘発変異によって出現する菌株-著者らのmutational phaseIIIと呼称する株-と細菌学的な性状が類似していた。
この分離株の一部について, ゴールデンハムスターを用いてう蝕誘発能を検討した結果では, う蝕の発生が認められなかった。
以上の結果から自然界におけるヒトの歯垢中にもS. mutans mutatinal phase IIIと同様な株が存在することが示唆された。