口腔衛生学会雑誌
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フィチン酸ナトリウム配合フッ化スズ歯磨剤のハムスター実験齲蝕抑制効果
薬師寺 毅古賀 敏比古佐藤 節子井上 昌一
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1985 年 35 巻 2 号 p. 191-194

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抄録
新たに開発された, フィチン酸ナトリウム配合フッ化スズ歯磨剤の齲蝕抑制効果をハムスター実験齲蝕系において調べた。
齲蝕原性Streptococcus mutans K1-R株を感染させたハムスターを齲蝕誘発性飼料#2000で32日間飼育した。この実験期間中を通じて, フィチン酸ナトリウム配合フッ化スズ歯磨剤, フッ化スズ歯磨剤, あるいはプラセボ歯磨剤を1日1回, 1週当り5日間, 動物の臼歯に適用した。
その結果, フィチン酸ナトリウム配合フッ化スズ歯磨剤は, プラセボ歯磨剤はもとよリフッ化スズ歯磨剤に比べても, プラークの形成と齲蝕の発生を有意に抑制した。すなわち, プラセボ歯磨剤を対照とすると, フィチン酸ナトリウム配合フッ化スズ歯磨剤の齲蝕抑制率は49.2%, フッ化スズ歯磨剤のそれは32.2%であり, 同様に, フィチン酸ナトリウム配合フッ化スズ歯磨剤のプラーク抑制率は24.5%, フッ化スズ歯磨剤のそれは8.5%であった。
フィチン酸ナトリウム配合フッ化スズ歯磨剤の示すこのような高い齲蝕抑制効果は, これに含まれる薬効成分であるフッ素イオン, スズイオンおよびフィチン酸イオンの示す歯質耐酸性増強作用および/あるいは抗プラーク (抗菌) 作用のいずれもが相乗的に高まることによると思われた。
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