口腔衛生学会雑誌
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エアーウォーターシリンジから供給される水の細菌学的汚染状況の検討 第1報
細菌数および残留塩素濃度
竹木 幸恵今井 敏夫福田 雅臣小柳 巌山本 益重朝田 和夫遠藤 智彦鈴木 茂行石田 尚丹羽 源男
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1994 年 44 巻 5 号 p. 645-652

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抄録

歯科治療の際, 水は高頻度で使用される。その水はエアータービン, エアーウォーターシリンジを通して患者口腔内へ供給されるため水質の良否は重要な問題である。この研究では週明けのエアーウォーターシリンジから供給される水を連続的に採取し, 細菌数および残留塩素濃度について検討した。
細菌数は標準寒天培地にて試料水を37℃で48時間培養後, コロニー数から算定し, また細菌数の推移から予測排水必要量を求めた。残留塩素濃度はDPD酸化比色法 (510nm) にて測定した。細菌数, 予測排水必要量に関しては各歯科診療所のユニットヘの給水方式との関連についても検討を加えた。以下がその結果である。
1) 診療開始前の初水10ml中からは2.6×103~57.5×103CFU/mlの細菌が検出され, 排水に伴いその数は減少した。
2) 初水10ml中の残留塩素濃度はすべての試料が検出限界以下で, 210ml排水後に基準に達したのは10試料のうち1試料であった。
3) 予測排水必要量は50ml~434mlにおよび直接水道では平均278ml, 間接水道では332mlであった。
4) ユニットヘの給水方式の違いによる細菌数, 予測排水必要量に有意な差は認められなかった。
5) 試料から得られた細菌は9種類で, いずれもブドウ糖非発酵性グラム陰性桿菌であった。

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