1994 年 44 巻 5 号 p. 653-658
本研究は, 高齢者向きマンション入居者 (男29名, 女61名, 平均年齢74.9±5.2歳) を調査対象とし, 咀嚼能力と身体活動性および高次の生活機能との関連性について検討した。咀嚼能力は試験ゼリー法と自己評価によって, 身体活動性は敏捷性, 握力および平衡機能, 生活機能は老研式活動能力指標を用いて評価した。
その結果, 咀嚼能力は身体活動性では敏捷性と握力との間に関連性があり, 生活機能面では「社会的役割」に属する項目と有意な相関関係が認められた。よって, 高齢者においては咀嚼能力が生活の質に関わる諸因子に影響を及ぼすことが示唆された。