日本小児臨床薬理学会雑誌
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Print ISSN : 1342-6753
バルプロ酸による神経分化作用に関与する新規誘導遺伝子NF2の同定
宮本 幸草川 森士鳥居 知宏三部 篤中村 和昭山内 淳司田上 昭人
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2008 年 21 巻 1 号 p. 114-118

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抄録
現在までの我々を含めた国内外の研究グループの結果から,VPAがN1E-115細胞の神経分化を誘導すること,それらがJunキナーゼの活性化による細胞接着斑蛋白Paxillinのリン酸化を介すること,が明らかとなった1~16)。そこで本研究では,VPA添加により誘導される一連の遺伝子群を明らかにするためにGenechipを用いた網羅的解析を行った。その結果,発現誘導される遺伝子群に,神経線維腫症II型原因遺伝子NF2(その遺伝子産物はMerlinと呼ばれる)が含まれることが明らかとなった。はじめに,RNA干渉法でNF2の機能を阻害したところ,VPAによるN1E-115細胞の分化誘導が強く抑制されることが明らかとなった。さらに,未分化状態のN1E-115細胞にMerlinを強制発現させたところ,単独発現では神経分化を誘導しなかったのに対し,その結合蛋白質であるPaxillinと共発現させることにより,神経分化を強く誘導することが判明した。以上のことから,VPAはMerlinの発現を誘導することによって,Paxillinとの結合が促進され,神経細胞の分化を誘導していることが示された。これらの現象をさらに詳細に探求することにより,VPAの作用機序に,新たな知見を与えることが期待される。
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© 2008 日本小児臨床薬理学会
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