日本小児臨床薬理学会雑誌
Online ISSN : 2759-9256
Print ISSN : 1342-6753
小児における医薬品の適応外使用-特に錠剤・カプセル剤の粉砕処方の実態-
藤田 彩子千葉 幹夫松田 雅史山路 昭中川 雅生
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 22 巻 1 号 p. 96-99

詳細
抄録
小児における医薬品の適応外使用の実情,特にその頻度と錠剤・カプセル剤の粉砕処方に焦点を当てて調査した1)。平成20年7月1日から同年7月31日の1か月間に滋賀医科大学医学部附属病院のすべての診療科において,15歳未満の小児に対し処方された薬剤について外来・入院別に適応外使用の頻度及び錠剤・カプセル剤の粉砕処方の件数と理由を調査した。外来で内服薬及び外用薬が処方された小児患者数は678人,処方薬剤は283品目1,143剤で,そのうち適応外使用は204品目(72.1%),617剤(54.0%)だった。注射剤を処方された小児患者は52人,処方薬剤は41品目,123剤,そのうち適応外使用は29品目(70.7%),83剤(67.5%)だった。入院で内服薬及び外用薬が処方された小児患者数は67人,処方薬剤は140品目,777剤であった。そのうち適応外使用は102品目(72.9%),574剤(73.9%)だった。注射剤を処方された入院患者は58人,144品目2,371剤だった。そのうち適応外使用は104品目(72.2%),1,924剤(81.1%)だった。粉砕処方の件数と理由について,外来で粉砕処方された小児患者数は50人であり,粉砕処方薬剤は32品目90剤だった。また,粉砕件数は68件(複数の患者に対して,一つの医薬品が粉砕処方された場合の医薬品に人数を乗じたものを件数とした)だった。その理由(重複を含む)は『薬用量が規格単位に合わないため』が59件(86.8%),『嚥下能力がないため』が57件(83.8%),『経管投与のため』が8件(11.8%)だった。入院で粉砕処方された小児患者数は17人,粉砕件数は33件,粉砕処方薬剤は12品目148剤だった。その理由(重複を含む)は,『嚥下能力がないため』が27件(81.8%),『薬用量が規格単位に合わないため』が24件(72.7%),『疾病により嚥下障害を来たしたため』が3件(9.1%)だった。今回の調査結果は,外来,入院とも処方された薬剤の約7割が適応外使用されていること,粉砕の理由は,錠剤・カプセル剤を内服できない,処方量が規格に合わない,あるいは散剤や水剤等の適切な剤形がない等の理由によりやむをえず行なわれていることが明らかとなった。剤形変更を余儀なくされる医薬品の安定性や薬物動態に関する十分な情報はなく,治療効果,用法・用量の設定,副作用発現への影響を考慮する必要があると思われた。
著者関連情報
© 2009 日本小児臨床薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top