抄録
目的:非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(non-vitamin K antagonist Oral Anti-Coagulant, NOAC)のひとつであるエドキサバンが,産褥期に肺動脈血栓症と下肢静脈血栓症と診断された授乳婦に使用された機会に遭遇し,ヒトの乳汁移行に関して検討した。方法:産褥4日に単回投与エドキサバン60mgを内服後6時間の母体血中濃度,7時間後の搾母乳中濃度と22時間後の母乳を直接哺乳している新生児血中濃度測定を行った。血中及び乳汁中濃度測定はLC/MS/MS法で行った。結果:エドキサバン内服後6時間の母体血中濃度は51.3ng/mL,エドキサバン内服後7時間の搾母乳乳汁中濃度とエドキサバン内服後22時間の新生児血中濃度はいずれも1ng/mL未満の検出感度以下であった。乳汁/血漿薬物濃度比(M/P比)では0.02未満,相対的摂取量(RID)は0.03%未満であった。まとめ:エドキサバンは動物実験の乳汁移行率とは異なり,ヒトでは乳汁移行がほとんどない可能性を示した。