日本小児臨床薬理学会雑誌
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ビタミンK欠乏性出血症により頭蓋内出血を来した乳児2例
渕上 真穂溝口 達弘辻 功介在津 正文
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2019 年 32 巻 1 号 p. 133-137

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抄録
わが国では,ビタミンK欠乏性出血症の予防のため,ビタミンK製剤の3回投与が普及しているが,未だ乳児ビタミンK欠乏性出血症の発症が散見される。今回,ビタミンK製剤の3回投与が行われたが,ビタミンK欠乏性出血症により頭蓋内出血を来した乳児2例を報告する。症例1は70生日女児。嘔吐,発熱を主訴に入院した。症例2は62生日女児。嘔吐,発熱,活気低下を主訴に受診し,受診時に白色便を認め入院した。2例ともヘモグロビン低下,プロトロンビン時間・活性化部分トロンボプラスチン時間延長,protein induced by Vitamin K absence or antagonists-II(PIVKA-Ⅱ)高値,頭部Computed Tomography(CT)で頭蓋内出血を認めた。症例1の基礎疾患は特定できず,症例2は胆道閉鎖症であった。胆汁分泌不全によるビタミンKの吸収不全は,母子健康手帳の便色カードに基づく便の評価や遷延性黄疸により早期に診断し,対応することが重要である。しかしながら,症例1では結果として器質的異常がなく,一過性の症状だったものと推察され,また,症例2では健診時を含め,発症までは明らかな便色の異常がなく,2症例ともに,ビタミンK欠乏性出血症の発症前に,ビタミンK欠乏症を診断することが困難であった。乳児ビタミンK欠乏性出血症の予防のために提唱された2011年のガイドラインでは,これまでのビタミンK製剤の3回投与に加え,3か月間の週1回投与も投与方法として提示された。本症のように発症前にビタミンK欠乏症を診断することが困難な症例に対しても予防効果がある可能性がある。
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© 2019 日本小児臨床薬理学会
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