日本小児臨床薬理学会雑誌
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MTX 排泄遅延に対し dl-LV 救援療法を l-LV 製剤で代替し得た小児 T-ALL の一例
丹沢 彩乃宮澤 永尚大橋 知佳三津田 華耶吉野 浩山谷 明正篠原 高雄
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2019 年 32 巻 1 号 p. 45-48

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抄録
急性T細胞性リンパ性白血病(T-ALL)の12歳男児。体重50.0kg,体表面積1.4m2,既往歴・アレルギー歴なし。JPLSGALL-T11プロトコルに則って大量メトトレキサート療法(HD-MTX)を施行した。1回目のHD-MTXは特記する有害事象なく経過し,投与終了後の血清Cre値にも変化はなかった。2回目のHD-MTX投与中も十分な尿量は確保できていたが,開始後21時間からしびれ,倦怠感,水様便,下痢,発熱を認めたためメトトレキサート(MTX)の投与を中止した。MTX投与開始後24時間の血中濃度は206.4µmol/Lであり,Creは2.38mg/dLと著しい上昇を認めた。36時間後からホリナートカルシウム(dl-LV)による救援療法を開始したが,MTX血中濃度42時間値は42.8µmol/Lでありdl-LVの必要量は2100㎎であった。これはdl-LV製剤に換算すると700アンプルに相当する。そこで今回,活性本体であるl体のみを含量しているレボホリナートカルシウム(l-LV)製剤の投与を代替として行った。併せてMTX投与開始後52時間から162時間まで断続的に血液浄化療法を実施した。その後,l-LV製剤に起因する有害事象なく経過し,永続的な腎障害などの臓器障害を残さずMTX排泄遅延から改善した。現在も寛解を維持し化学療法を継続中である。本症例のように緊急性を要するMTX高度排泄遅延の場合には,l-LVによる救援療法の可能性もあると考えられた。
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© 2019 日本小児臨床薬理学会
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