抄録
先天性心疾患の多くが成人を迎えることが可能となり,わが国では現在60万人近くの成人先天性心疾患患者がいる.中等症から複雑先天性心疾患修復手術の多くは,特徴的な遺残症,続発症を伴い,生涯にわたる経過観察が必要である.術後経過や加齢(これらの患者では加齢が一般よりも早く生じるとされる)に伴い,心機能低下,心不全,不整脈,肺高血圧,aortopathy(大動脈拡張),腎機能低下,さらに突然死などの後期合併症を生じることが少なくない.このため,成人期に再手術,カテーテル治療や心不全に対する薬剤治療などが必要なことも多い.先天性心疾患の成人への移行診療は早期から対応がなされ,専門医制度,成人期診療体制,移行に関するガイドラインも確立されてきている.しかし,成人期合併症,とくに心不全に対しての治療法は端緒についたばかりで,今後,基礎研究も含めた成因究明や内科治療の進展が望まれる.