環境化学
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鳥屋野潟におけるLASの分布と挙動
横山 ひろみ川田 邦明尾崎 邦雄
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1991 年 1 巻 3 号 p. 535-541

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抄録

鳥屋野潟に流入する合成洗剤量を把握する目的で, 潟内に直接流入する11排水路, 潟内及び対照地点 (信濃川) で, 水質中のLASを測定した。その結果から次のようなことがわかった。
(1) 各排水路では季節によるLAS濃度の差はみられなかったことから, LAS濃度は, 鳥屋野潟に対する各排水路からの生活系排水の負荷の指標として有効と考えられた。
(2) 潟入口ではLAS濃度に明確な季節差は認められなかったが, 潟出口, 潟内及び対照地点では, 夏季には秋季や冬季の十分の一程度の濃度であり, 水温がLASの分解に関与していると考えられた。
(3) 主に生活系排水の流入すると考えられる7排水路においては, LAS濃度は, 主に農業系排水が流入すると考えられる2排水路に比べ, 約十倍~百倍程度高濃度であり, 鳥屋野潟に対する生活系排水による負荷量の76~80%を占めた。また, 生活系排水と農業系排水がともに流入する排水路では両者の中間的な濃度であった。

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