環境化学
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過剰肢カエル発生地におけるカエル及び環境中の内分泌攪乱化学物質調査
門上 希和夫武石 全慈倉本 満小野 勇一
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2000 年 10 巻 1 号 p. 35-43

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抄録

過剰肢ガエルの発生地及び対照2地域において, カエル及び環境中のEDCs調査と過剰肢以外の異常の有無に関する調査を行い, 次の結果を得た。1) カエル及び土壌試料からは, DDT類やオキシクロルデンなどの難分解性で生物濃縮され易い物質が高頻度で検出されたが, シマジンなどの易分解性物質は検出されなかった。また, 土壌から高濃度かつ高頻度で検出されたB (a) Pは, カエルからは検出されなかった。2) カエルへの暴露経路は, 主に土壌からの経皮経由と考えられた。3) オスの体内中化学物質濃度は, メスに比べて有意に高く, その差は卵への移行と推測された。4) 検出濃度は, カエルに対して急性及び慢性的な影響を与えるレベルではなかったが, 体内DDT濃度と精巣の大きさに負の相関が認められ, 一部のカエルで精子形成異常が見られるなど, 最もEDCsの影響を受けやすいとされる初期発生段階での悪影響が疑われた。

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