環境化学
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10 巻 , 1 号
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  • 沈 舜燮, 川本 克也
    2000 年 10 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2000/03/24
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    白色腐朽菌 (Phanerocheate chrysosporium) の酵素活性発現特性および物質分解特性について検討した。実験は, グルコースおよび酒石酸アンモニウムなどを主成分とするBasal III培地を用いて, 様々な環境条件を設定して行った。リグニンペルオキシダーゼ (LiP) 活性の発現は, 培地のC/N比条件の影響を受けたが, それ以上にリグニン指標物質であるベラトリルアルコールまたは界面活性剤 (Tween-80) の添加が有効に作用した。一方, マンガンペルオキシダーゼ (MnP) 活性においては, C/N比条件の影響が大きいことがわかった。以上の特徴をもつ白色腐朽菌は, 数種の有機塩素化合物および多環芳香族化合物を分解可能であることを実験で明らかにした。この分解能は, 主として白色腐朽菌の酵素活性に由来すると考えられた。しかし, 一部の物質について, LiP活性があまり高くない高窒素条件で分解がかなり進行したことから, LiPおよびMnP以外の分解酵素の存在が示唆された。
  • ―サクラ葉中のダイオキシン類の年間変動と大気中濃度との関係―
    東條 俊樹, 清家 伸康, 松田 宗明, 河野 公栄, 脇本 忠明
    2000 年 10 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2000/03/24
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    ダイオキシン類の大気汚染を迅速且つ広域に調査することを可能にする指標試料として植物葉の可能性の検討を行った。その結果, サクラ葉中のPCDD/Fs濃度は同時期の大気中PCDD/Fs濃度を反映しており, 葉と大気の間で一定期間に平衡状態が成立していることが明らかになった。また, 一定期間の大気に曝露した葉中PCDD/Fs濃度と大気中PCDD/Fs濃度は, 蒸散と沈着を繰り返して平衡状態に向かってゆく。しかし, その平衡状態の期間においても葉中濃度は微量に増減を繰り返していた。この現象の原因と考えられる気温等の諸要因の変動を小さくするためにそれぞれの長期間の平均値を用いたところ, 良好な相関関係が得られた。以上の結果より, サクラ葉中のPCDD/Fsは, その同時期の大気中濃度を反映しており, PCDD/Fsによる大気汚染の指標試料として利用できることが確認された。
  • 吉永 淳, 安原 昭夫, 白石 寛明, 薩摩林 光, 伊東 秀一, 川又 秀一
    2000 年 10 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2000/03/24
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    日本各地の廃棄物埋立処分場の浸出水中にホウ素が高濃度かつ高頻度に検出されることが明らかとなっていることを背景として, 廃棄物埋立処分場における浸出水中ホウ素に関する基礎的な調査を行った。隣接する2つの管理型構造を持つ一般廃棄物埋立処分場 (埋立て終了および埋立て中) において, 1997年11月より1999年1月までの15ヶ月間, 2月に1回サンプリングした浸出水 (n=7ずつ) , 浸出水の対照試料としてサンプリングした, 2つの処分場外直近の沢水 (n=7) , 当該地域の降水 (n=12) 中のホウ素濃度を定量した。その結果, (1) ホウ素濃度の中央値は, 降水 (0.0021mg/l) <沢水 (0.062mg/l) <浸出水 (2処分場とも1.3mg/l) の順に高くなり, 浸出水の濃度は降水の約600倍であること, (2) ホウ素絶対量にすると, 埋立処分場からのホウ素放出量は年間62000g, 降水によるインプットは年間350gと推定され, 埋立処分場によるホウ素の負荷は, 不確定な要因を含め, インプットの180倍以下であること, (3) 埋立処分場に由来する浸出水へのホウ素の負荷は, 他の元素 (アウトプット/インプット: 62~3900) に比較して必ずしも高いわけではないこと, が判明した。
  • 村山 等, 向井 博之, 森山 登
    2000 年 10 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2000/03/24
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    キャニスターを用いた大気中揮発性有機化合物 (VOCs) の捕集方法である減圧採取法と加圧採取法について極性物質を含む44種類のVOCsを用いて比較検討を行った。これらのVOCsは一部の極性物質を除きキャニスター内では比較的安定であり, 繰り返し分析精度も良好であることを確認した。両試料採取法を用いて, 室内でのチャンバー実験及び屋外での実試料採取を行った結果, 極性の低い物質に対しては減圧採取法及び加圧採取法とも概ね一致する結果が得られた。一方, 極性の比較的高い物質に対しては加圧採取法と減圧採取法の値は一致せず, ばらつきが大きくなった。これは, 極性物質が試料採取時に配管等に吸着しやすいためと考えられる。
  • 門上 希和夫, 武石 全慈, 倉本 満, 小野 勇一
    2000 年 10 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 2000/03/24
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    過剰肢ガエルの発生地及び対照2地域において, カエル及び環境中のEDCs調査と過剰肢以外の異常の有無に関する調査を行い, 次の結果を得た。1) カエル及び土壌試料からは, DDT類やオキシクロルデンなどの難分解性で生物濃縮され易い物質が高頻度で検出されたが, シマジンなどの易分解性物質は検出されなかった。また, 土壌から高濃度かつ高頻度で検出されたB (a) Pは, カエルからは検出されなかった。2) カエルへの暴露経路は, 主に土壌からの経皮経由と考えられた。3) オスの体内中化学物質濃度は, メスに比べて有意に高く, その差は卵への移行と推測された。4) 検出濃度は, カエルに対して急性及び慢性的な影響を与えるレベルではなかったが, 体内DDT濃度と精巣の大きさに負の相関が認められ, 一部のカエルで精子形成異常が見られるなど, 最もEDCsの影響を受けやすいとされる初期発生段階での悪影響が疑われた。
  • 佐々木 裕子, 木瀬 晴美, 松井 道子, 芳住 登紀子, 若林 明子, 菊地 幹夫
    2000 年 10 巻 1 号 p. 45-55
    発行日: 2000/03/24
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    3年間にわたり東京都内の河川水について, Microtox試験, Ames試験, オオミジンコ遊泳阻害試験, 藻類増殖阻害試験による有害性評価を実施し, 原因物質の検索を試みた。その結果, 検討した河川水の60%にMicrotox試験, Ames試験またはオオミジンコ遊泳阻害試験いずれかによる有害性が認められた。また, 甲殻類への有害性が度々検出される地点が見いだされた。4種のうちMicrotox試験やAmes試験では, 河川水の有害性を総括的, 定量的に評価でき, 原因物質検索にも有用な情報が得られた。一方, オオミジンコ遊泳阻害試験, 藻類増殖阻害試験は有機リン農薬, 除草剤の基準適合性, 水圏生態系への安全評価を直ちに行うことができた。これらバイオアッセイの特徴を生かして使用することは, 環境中の有害化学物質の幅広い監視・検索に有用と考えられた。
  • 白石 不二雄, 白石 寛明, 西川 淳一, 西原 力, 森田 昌敏
    2000 年 10 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 2000/03/24
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    迅速で, 簡便な酵母Two-Hybrid Systemによるエストロゲンアッセイ系を, 96ウェルプレート培養法と化学発光レポーター遺伝子測定法を用いることで開発した。開発したアッセイ系はアゴニスト作用を調べるラット肝S9を用いる+S9試験法と-S9試験法, 及びアンタゴニスト作用を調べる試験法から成り立っている。Dextrose添加量を0.2%にした改良SD培地を用いることでバックグランドのβ-ガラクトシダーゼ発現量を大きく押さえることが可能となり, エストロゲン活性の測定感度を高める結果となった。アゴニスト活性は対照の化学発光量に対する試料の化学発光量の比から10倍影響濃度 (ECx10) を算定して評価した。5種類のステロイドホルモンとdiethylstilbestrolは, -S9試験においていずれも量-反応作用を示し, 最もECx10値が低かったのはethynylestradiolの0.085nMであった。+S9試験において, methoxychlorは量―反応性のエストロゲン活性を示し, ECx10値は3, 000nMであった。本アッセイ系を用いて数種類の化学物質を検討したところ, ECx10値はp-t-octylphenol 67nM, p-nonylphenol 550nM, bisphenol A 3500nMを, +S9試験ではbenzo (a) pyrene 1800nM, pyrene 5, 100nM, 及び1-nitropyrene 41, 000nMを示した。
    17β-estradiol (b-E2) 活性の50%抑制濃度 (IC50) を指標とするアンタゴニスト試験において, 4-hydoxy-tamoxifenのIC50値は2, 400nMを示し, tetrabromobis-phenol A (IC50; 820nM) 及びpretilachlor (IC50; 41, 000nM) にアンタゴニスト作用があることが示唆された。
    環境水として試験した霞ヶ浦湖水と廃棄物埋立地浸出水の抽出試料は本アッセイ系によりb-E2に換算して数pptレベルでエストロゲン活性 (アゴニスト作用) を検出できることが可能となり, さらに本アッセイ系にマイクロトックス試験を併用することで, 試験管理精度が高まることが示された。
  • 川越 保徳, 福永 勲, 西川 淳一, 西原 力
    2000 年 10 巻 1 号 p. 65-72
    発行日: 2000/03/24
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    酵母Two-hybrid法によるエストロゲン様活性測定の簡便化に関して測定条件を種々検討し, マイクロプレートを用いた簡便な測定方法を確立した。また, エストロゲン様活性の定量化について検討した。酵母は18時間の静置培養で良好な結果が得られた。酵母の細胞壁の破壊は細胞壁分解酵素による方法が変動が小さく高い活性値が得られることが分かった。培養から活性測定までの全操作をマイクロプレート上で行い, 遠心分離等を要しない簡便なアッセイ方法を確立した。エストロゲン様活性の用量反応曲線はHillの式で良好に近似されることを明らかにし, エストロゲン様活性の定量的な評価方法を提案した。
  • 川中 洋平, 鳥貝 真, 尹 順子, 橋場 常雄, 岩島 清
    2000 年 10 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2000/03/24
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    食品包装用ラップフィルム (7材質, 22試料) からのノニルフェノール (NPs) 及びビスフェノールA (BPA) の溶出試験を行った。蒸留水を溶出溶媒として試験を行った結果, ポリ塩化ビニル製のラップフィルム6試料中5試料からNPsが, さらに, そのうち1試料からBPAが溶出することが確認された。ラップフィルム表面積当たりの溶出量はNPsで98~120ng/cm2, BPAでり30ng/cm2であった。なお, 他の材質のラップフィルムからはNPs, BPAとも溶出は認められなかった。さらに, ポリ塩化ビニル製のラップフィルムを用いて4%酢酸及びn-ヘプタンによる溶出試験を行ったところ, BPAの溶出量に変化は認められなかったが, NPsの溶出量はn-ヘプタンによる試験で, 不検出である1試料を除き480~610ng/cm2となり, 蒸留水や4%酢酸の場合と比較して高くなる結果が得られた。
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