環境化学
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土壌細菌群に対する土壌液中の亜鉛存在形態の影響
佐伯 和利國頭 恭小柳津 広志松本 聰
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2000 年 10 巻 3 号 p. 541-547

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抄録
土壌中の微生物群に対する重金属の影響を評価するために, 亜鉛含量の高い土壌を用いて, 土壌飽和抽出液中の様々な性質を定量し, そのデータからSOILCHEMで土壌溶液中の亜鉛の存在形態と亜鉛イオン活動度を予測し, 土壌細菌群の亜鉛耐性度 (IC50) との関連を調べた, 計算された土壌飽和抽出液中の亜鉛の存在形態割合は, フリーイオン形態が全ての試料で80%以上占めていた。土壌中の細菌群の亜鉛耐性度は, 土壌に含まれる亜鉛全濃度とは無関係で, 土壌溶液中の亜鉛活動度と相関関係があった (γ2=0.610, p<0.01) 。この結果より土壌溶液中の亜鉛フリーイオンが細菌群に毒性・影響を与えることが示唆された。すなわち, その量が増加することによって, 耐性度の強い細菌群へと変化したと考えられた。IC50は, 土壌溶液中の亜鉛のCl-, NO-3, SO2-4複合体と有意な相関関係を示した。
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© 日本環境化学会
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