抄録
クラフトパルプ排水中に含まれるリグニンの効率的分解のためにオゾン分解後に微生物分解する処理方法を提案した。リグニン芳香核の分解に及ぼすpH, 温度などのオゾン分解条件の影響を実験的に明らかにした。オゾン分解によってリグニン芳香核はムコン酸, マレイン酸, シュウ酸などの種々の低分子有機酸に分解された。シュウ酸分解菌A28菌を用いたオゾン分解液の微生物分解では, 菌の増殖は酢酸を消費した後にシュウ酸を分解する典型的なジオキシ増殖を示した。結果として, オゾン分解と微生物分解から成る処理方法はクラフトパルプ排水中のリグニンの完全分解のための効果的方法であることがわかった。