抄録
大規模工場が立地する愛媛県東中予地域の5市で粉じん調査を実施した。分析した10元素の平均濃度は, Feが最も高く, 次いでZn, Pb, Mn, Niの順であったが, Cr, Cd, Vの濃度は試料の半分以上で定量限界値未満であった。また, 元素濃度に経年的な減少傾向 (P<0.01) がみられたのは, Feは西条市, Niは川之江市と西条市, Pbは西条市, Asは新居浜市, 東予市および松山市, Vは新居浜市, 西条市および松山市であった。特にHgの濃度変化は小さく, また経年的な増減傾向もみられないことから, その起源は自然界に由来していると考えられた。
粉じんと土壌の元素濃度の順位およびAl, Feに対する濃度比の比較から, 粉じん中PbとAsは, 土壌以外の工場等人為発生源に由来すると考えられた。