抄録
1992~1995年にバイカル湖, カスピ海, 黒海および日本近海で採取された魚類20種の微量元素分析を行った。バイカル湖産魚はCr, Co, Rb, TlとPbが他水域に較べ高く, Li, AsおよびThが低かった。カスピ海は, 試料が一種しか得られていないが, ZnおよびSrレベルが高く, Cr, RbおよびCsが低値であった。黒海産魚は, VおよびCuの高蓄積がみられ, Liは低かった。Co, As, HgとTlは海産魚の方が汽水および淡水産魚類より高くなる傾向が認められた。4つの水域産魚の微量元素蓄積における種間差を検討した結果, 元素間相互作用や体サイズ, 水分, 脂肪含量が濃度レベルに影響を与える可能性が示唆された。