本研究では水生生物試料中の有機塩素系農薬抽出時に超臨界抽出法 (SFE) を適用する際の最適条件がマダイ筋肉添加試料を用いて検討された。その結果, 抽出温度50℃の状態下で, 超臨界二酸化炭素2ml/minの流速, 密度0.70g/ml (圧力151bar) で超臨界二酸化炭素に対して7%のメタノールをモディファイアーとして加えて40分間抽出したときに良好な抽出効率が得られた。抽出後, 機器分析までの前処理はパスツールピペットにフロリジルを詰めてクリーンアップを行う程度で十分にGC/MSによる定量が可能であった。
SFEの有用性を確認するために実際に有機塩素系農薬をムラサキイガイに暴露し, その試料を超音波抽出法と超臨界抽出法で抽出した結果を比較したところ, 超臨界抽出法は超音波抽出法と同等かそれ以上の抽出力があることが明らかになった。