環境化学
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愛媛県における紛じん及び雨水等降下物中の元素の挙動
越智 久尚藤田 慎二郎山内 正信國頭 恭田辺 信介
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2003 年 13 巻 3 号 p. 643-651

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抄録
愛媛県東部にある石炭ボイラーについて, ばいじんの元素濃度を測定した。元素ごとにAlに対する濃度比を求め, 土壌の濃度比と比較した。粉じんの元素濃度上昇に与える影響は, As, Ni, Cr, Be, Pb, Zn, Vはばいじんが大きく, Mn, Fe, Ca, Mgは土壌が大きいと推察された。
0.8μmのミリポアフィルターでろ過した雨水のAs濃度は松山市で最高8.1μg/l, As降下量は新居浜市で155μg/m2/週であった。また, 新居浜市では, 雨量とAs降下量の間に正の相関関係がみられ, Asの大気輸送が示唆された。また, 新居浜市で捕集した雨水のAsは, 96%が溶存態, 4%が懸濁態であった。土壌起源のAs (推定値) のうち, 37%は雨水に溶解したと推定された。溶存態Asは, 大部分が人為起源であり, その一部は大気輸送されていると考えられた。
県内の5主要都市で実施した粉じんの調査結果を主成分分析により解析したところ, 1) 松山市及び新居浜市は元素濃度が高く人為的な影響が大きい, 2) 西条市の元素濃度は低いが人為的影響は大きい, などの特徴がみられた。
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