抄録
目的:国際口腔顔面痛分類第1版(ICOP-1)には,「5.1 一次性頭痛の症状に類似した口腔顔面痛」が記載されていることからわかるように,口腔顔面痛専門医に一次性頭痛の知識は必須となっている.
方法:国際頭痛分類第3版と頭痛診療ガイドライン2021の中から口腔顔面痛専門医に必須と思われる内容を抽出し,必要に応じて文献検索を行った.
結果:片頭痛は,日常生活に支障をきたす一次性頭痛の代表疾患である.頭痛の前に起こる「前兆」症状の有無により,「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」の二つのタイプに分類される.片頭痛による頭痛は発作的に起こり,4〜72時間持続し,片側性,拍動性,日常生活を阻害,体動で増悪する.頭痛発作中は感覚過敏となり,ふだんは気にならないような光,音,臭いを不快と感じる.また,悪心(吐き気)や嘔吐を伴うことも多い.緊張型頭痛は一次性頭痛のなかで最も多い頭痛である.頭痛は30分から7日続き,圧迫されるような,あるいは締めつけられるような非拍動性の頭痛で,多くは両側性である.頭痛の程度は軽度〜中等度で,頭痛のために日常生活に支障が出ることはあっても寝込んでしまうようなことはない.三叉神経・自律神経性頭痛は一側の激しい頭痛に,頭痛と同じ側に眼の充血や流涙,鼻汁や鼻閉,縮瞳と眼瞼下垂などの頭部自律神経症状を認める疾患の総称で,群発頭痛が代表疾患である.群発頭痛は上記の頭痛発作が数週から数か月の期間群発する.
結論:代表的な一次性頭痛の特徴,診断,治療について,最新の情報を交えて解説した.