環境化学
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室内空気汚染物質の固体捕集・溶媒脱離法を用いたGC/MS定量法の評価
―有害大気汚染物質の分析に関する共同実験 (第7報) ―
今村 清江口 正治大平 修平白國 忠志竹中 規訓田代 恭久立花 茂雄西本 ゆかり福西 朋子矢坂 裕太
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2004 年 14 巻 4 号 p. 861-869

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抄録

室内空気汚染物質を対象とした分析法として吸着・溶媒脱離-ガスクロマトグラフ/質量分析 (GC/MS) 法が採用されている。室内空気汚染物質および有害大気汚染物質優先取組物質の中からトルエン, エチルベンゼン, p-キシレン, o-キシレン, スチレン, p-ジクロロベンゼン, トリクロロエチレン, テトラクロロエチレンの8成分について, 吸着・溶媒脱離法による分析精度の共同実験を行った。このRound robin試験には15の分析機関が参加した。試料としては3種類の溶液試料を配布した。試料Aの場合はガラス製容器に気化, ガス試料として捕集剤 (活性炭) に添加する方法である。試料Bの場合は試料溶液を直接捕集剤に添加する方法である.試料Cは対象物質の二硫化炭素溶液である。捕集剤に添加した試料は二硫化炭素で抽出した後, 内標準物質 (トルエンーd8) を添加し, GC/MSで分析した。
異常値を棄却した後のスチレンおよびp-ジクロロベンゼンを除いた6成分の各測定値の平均値は理論値 (計算値) とよく一致した。試料A, Bのスチレンおよびp-ジクロロベンゼンの比 (活性炭からの回収率に相当) はそれぞれ0.34~0.57, 0.51~0.66であった。理論値 (計算値) に対する各測定値の比の機関内相対標準偏差 (RSD) は0.74~12%の範囲に入った。また, 機関間RSDは試料Cでは2.8~8.0%の範囲に入り, 試料Aおよび試料Bについてスチレンでそれぞれ49, 33%, p-ジクロロベンゼンでそれぞれ33, 22%であり, その他の成分はそれぞれ8.5~12%, 14~19%の範囲にあった。
以上の結果から, スチレンおよびp-ジクロロベンゼンを除く6成分についてはこの方法を用いて精度良く分析できることが分かった。これら8成分を精度良くかつ同時に分析するためには, 検量線の作成方法或いは捕集剤からの回収率の検討が必要であることが示唆された。

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