環境化学
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アルカリ融解/水蒸気蒸留, 吸光光度法による底質・土壌等固体試料中のふつ素分析法の改良
小倉 光夫
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2006 年 16 巻 4 号 p. 643-649

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抄録
環境省が土壌汚染対策法で定めた土壌中のふっ素全含有量分析方法を検討し, いくつかの問題点が見出されたため, 改良点を提案した。固体試料1.00gを550℃で灰化後, 炭酸ナトリウム-炭酸カリウムの等モル混合融剤 (融解合剤) 5.00gで40分間融解した。温浸後溶液に (1+1) 硫酸を加えて微酸性とした。ふっ素の水蒸気蒸留では, JIS法で定めた200mlでは不十分で, 4~5ml/min.で260ml留出させることにより定量的に回収できた。これらの改良によって, 環境標準試料中のふっ素を分析したところ, 多くの試料でその暫定値または推薦値と一致した。この結果から, 提案した融解合剤法はより幅広い試料に適用可能なふっ素分析法であることが明らかになった。繰り返し分析精度は, 1.0~2.4%であった。
神奈川県内の河川底質中のふっ素濃度は115~176μg/gで, 平均150μg/gであった。
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