抄録
著者らが確立した水道水中のハロゲン化消毒副生成物の多成分系統分析法を用いて, 小型の中空糸膜付活性炭型浄水器によるハロゲン化消毒副生成物の除去, 即ち漏出について調査研究した。
一般家庭使用法と連続通水法を比較すると, 一般家庭使用においてハロアセトアルデヒド以外のハロゲン化消毒副生成物の漏出率は大きかった。即ち, 除去されていないことが明らかになった。この一般家庭使用法では小型浄水器は取り付け時から, 消毒副生成物が漏出し始めていた。そして, カートリジ使用有効期間内ではどのハロゲン化消毒副生成物も (漏出率に差はあるが, ) 除去されず漏出していた。
一般家庭の使用方法において, ハロゲン化消毒副生成物の内, ハロ酢酸, トリハロメタンは漏出率の最も高かった類であり, ハロアセトアルデヒド, ハロアセトンは次に高かった類であった。最も漏出率の高かった類の内, クロロホルム, トリブロモ酢酸, ジブロモクロロ酢酸は漏出率の高かった物質であった。
なお, 浄水器中の活性炭はハロゲン化消毒副生成物の除去に対して, 主に物理化学吸着であるが, 生物処理も認められた。