本研究は、「乳児保育」における保育者養成校テキスト、および3つの学会誌を分析対象とし、テキストの目次項目、学会誌において乳児を対象とした論文数について分析・検討した。まずテキストに最も多く取り上げられる3項目は、「発達」「カリキュラム」「保育内容」の順であった。次に保育所保育指針が改定された2008年以前と以降を比較したところ、2008年以前は上位3項目として1発達、2カリキュラム、3保育内容であったのに対し、2008年以降は、1発達、2保育内容、3カリキュラムの順となった。さらに2008年以降において大幅に増加している項目は、「理念」「子育て支援」「遊び」であり、「他機関連携」は、2008年までは全く取り上げられておらず、2008年以降になって新しく出現した項目であることが明らかとなった。また論文数を概観したところ、1乳児に関する研究は発達心理の領域が主となって行われてきたが、近年では保育をはじめとする他領域においても研究が行われていること、2ただし全体的に乳児を扱った論文数は少なく、年によってもばらつきがあることなどが明らかになった。2018年に改定された保育所保育指針や認定こども園教育・保育要領では乳児に対する保育が具体的に示され、これまで以上に研究や教育の充実が期待されており、その傾向が認められるとともに課題も明らかとなった。