抄録
87歳女性。両側下腿に境界不明瞭な熱感,腫脹を伴う紅斑が出現した。炎症反応の上昇から,当初蜂窩織炎を疑い抗生剤を投与するも改善しなかった。両側性であることから,その他の脂肪織炎をきたす疾患を鑑別として考え皮膚生検したところ,隔壁性脂肪織炎で結節性紅斑と診断した。安静にて経過観察していたが紅斑の消褪は遷延し,炎症反応はさらに上昇した。同時に食思不振が顕著となったためCTを施行したところ,胃壁肥厚,胃周囲および大動脈周囲に多発リンパ節腫大を認め,胃癌が疑われた。上部消化管内視鏡検査にて周堤を伴う潰瘍があり,生検にてdiffuse large B-cell lymphomaと診断した。本症の経過から悪性リンパ腫に伴って生じた結節性紅斑と考えた。結節性紅斑をきたす基礎疾患は多岐にわたり,原因検索が十分に行われないことも多いが,難治性の場合や,特に高齢者の場合は悪性腫瘍のデルマドロームである可能性を考える必要がある。