Journal of Mammalian Ova Research
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原著
極薄ピペットを用いたImproved-Piezo-ICSI法の臨床的有効性
平岡 謙一郎平岡 夏織田巻 智慧名田 康子桐明 千晶吉江 正紀宇都 博文吉田 宏之北村 誠司桑山 正成
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キーワード: 受精, 破損, ヒト, 顕微授精, ピエゾ
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2013 年 30 巻 2 号 p. 53-58

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抄録

ヒトICSIにおいて,Piezo-ICSI法と内径5 μm厚さ0.5 μmの極薄ピペットを組合せたImproved-Piezo-ICSI(IPI)法によるICSI後の卵子破損率および受精率の改善効果の有無,ならびにそのメカニズムを明らかにするため,3種類の手法,すなわち①群:Conventional-ICSI(CI)法,②群:内径5 μm厚さ1 μmの標準厚ピペットを用いてのConventional-Piezo-ICSI(CPI)法および③群:内径5 μm厚さ0.5 μmの極薄ピペットを用いてのIPI法の比較試験を行った.CI法,CPI法およびIPI法における卵子の細胞膜穿破時のICSIピペット内への吸引卵細胞質量(平均±標準偏差)はそれぞれ,2792±952,0±0および0±0 μm3であり,CI法が最も多かった(P<0.0001).CPI法およびIPI法における卵子の細胞膜穿破面積はそれぞれ,18および8 μm2であった.また,CI法,CPI法およびIPI法のICSI後の卵子破損率ならびに生存卵子当たりの受精率はそれぞれ,10,5および1%ならびに78,79および89%であった.卵子破損率はIPI法が最も低く(P<0.0001),受精率はIPI法が最も高い値であった(P=0.0021).Piezo-ICSI法と内径5 μm厚さ0.5 μmの極薄ピペットを組合せたIPI法は臨床のICSIにおいて,穿刺による卵子破損率を有意に減少させ,かつ受精率を有意に改善できる有用な方法であることが明らかとなった.

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© 2013 日本卵子学会
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