2016 年 10 巻 3 号 p. 190-194
気道粘膜や消化管粘膜を介して感作が成立すると考えられていた食物アレルギーや気道アレルギーなど皮膚以外の臓器を反応の場とするアレルギー反応の感作経路として,近年は経皮感作が注目されている。経皮感作が成立するためには,皮膚のバリア機能低下,微小環境におけるサイトカイン,ランゲルハンス細胞の樹状突起の伸長など,いくつかの条件が満たされることが必要だが,アトピー性皮膚炎ではこれらの条件が揃いやすいと考えられる。反対に,アトピー性皮膚炎の湿疹病変を抗炎症外用薬を用いた治療等で良好な状態に保つことは,経皮感作を生じにくくさせアレルギーマーチを防ぐ可能性が期待される。