われわれは皮膚のケラチノサイトが11β-hydroxysteroid dehydrogenase 1 (11β-HSD1) の発現により活性型コルチゾールを産生し, 皮膚の老化や創傷治癒に関与していることを11β-HSD1特異的阻害薬による阻害実験により証明した。さらに全身型およびケラチノサイト特異的な11β-HSD1のノックアウトマウスを作成し, 紫外線照射, ハプテン塗布などにより誘発される皮膚炎症やアセトン処理による皮膚のバリア破壊がHSD1~コルチゾール産生系により, 負の制御を受けていることを明らかにした。本稿ではステロイドの作用機序, 不応答性の分子メカニズムからみたアトピー性皮膚炎などのアレルギー性皮膚疾患の発症, 進展に関わる皮膚局所環境での制御機構と新たな11β-HSD1による自律的な皮膚の恒常性維持機構の最新の知見を紹介させていただく。