日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌
Online ISSN : 2189-7085
Print ISSN : 1882-0123
総論
角層バリア機能と皮膚疾患 : 魚鱗癬からアトピー・アレルギー性疾患まで
秋山 真志
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2017 年 11 巻 1 号 p. 8-14

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抄録

 表皮角層バリア機能を担う重要な構造としては, ① ケラチン・フィラグリンとその分解産物 (角層細胞質内を満たしている) , ② cornified cell envelope (あるいは周辺帯, marginal band) (インボルクリン, ロリクリン等の裏打ち蛋白が, 主にトランスグルタミナーゼ1の働きで結合し, 厚く頑丈になった角層細胞の細胞膜) , ③ corneocyte lipid envelope (cornified cell envelope と角層細胞間脂質層の間に存在する, 極長鎖のω-ハイドロキシセラミドと極長鎖のω-ハイドロキシ脂肪酸から成る, 角層細胞の細胞膜表面の脂質コート) , ④ 角層細胞間脂質層 (おもにセラミド, 遊離脂肪酸, コレステロールから成る) の4つがあげられる。これら4つの構造の異常による皮膚バリア機能の低下は, 魚鱗癬等の角化異常症の病因となり, また, アトピー性皮膚炎等のアレルギー性疾患の発症因子となる。

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© 2017 一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
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