2017 年 11 巻 1 号 p. 8-14
表皮角層バリア機能を担う重要な構造としては, ① ケラチン・フィラグリンとその分解産物 (角層細胞質内を満たしている) , ② cornified cell envelope (あるいは周辺帯, marginal band) (インボルクリン, ロリクリン等の裏打ち蛋白が, 主にトランスグルタミナーゼ1の働きで結合し, 厚く頑丈になった角層細胞の細胞膜) , ③ corneocyte lipid envelope (cornified cell envelope と角層細胞間脂質層の間に存在する, 極長鎖のω-ハイドロキシセラミドと極長鎖のω-ハイドロキシ脂肪酸から成る, 角層細胞の細胞膜表面の脂質コート) , ④ 角層細胞間脂質層 (おもにセラミド, 遊離脂肪酸, コレステロールから成る) の4つがあげられる。これら4つの構造の異常による皮膚バリア機能の低下は, 魚鱗癬等の角化異常症の病因となり, また, アトピー性皮膚炎等のアレルギー性疾患の発症因子となる。