2017 年 11 巻 2 号 p. 138-143
19歳女性。学童期より寒冷刺激に曝露した部位に瘙痒を伴う紅斑, 膨疹が出現するようになった。近医にて, 各種抗ヒスタミン剤で加療されたが, 症状の改善がないため当科を紹介され受診した。寒冷蕁麻疹の診断のもと, 補助的治療薬や試行的治療薬を追加し加療するも, 気候の寒暖によると考えられる症状の自覚の変化もあり, なかなか患者の効果の自覚が得られなかった。そこで, 内服薬の効果を客観的に評価するため, 4~44度温熱勾配発生装置 (TempTest®4.0) を用いて紅斑と膨疹の誘発閾値を測定した。その結果, すべての内服薬を中止した状態では紅斑と膨疹が誘発され, いずれかの薬剤を内服した状態では種々の温度域で境界明瞭な紅斑のみが出現し, 各治療薬の効果を客観的に評価することができた。この装置を用いることで, 患者とともに治療薬の効果を客観視でき, この患者のためのよりよい治療薬の選択と患者満足度の向上に有用であった。