日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌
Online ISSN : 2189-7085
Print ISSN : 1882-0123
症例
カルボシステイン代謝産物のパッチテストが偽陽性を呈した膿疱型薬疹の1例
若嶋 千恵山本 真有子中島 喜美子佐野 栄紀
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2017 年 11 巻 2 号 p. 149-153

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抄録

 68歳, 男性。誤嚥性肺炎に対するタゾバクタム / ピペラシリン, カルボシステイン, アンブロキソール塩酸塩の投与後に, 体幹, 四肢に小膿疱を伴う半米粒大の紅色丘疹が多発した。パッチテストでカルボシステインの主要夜間代謝産物であるチオジグリコール酸が5%, 10%濃度で陽性であったため, カルボシステインが原因の膿疱型薬疹と考え, 3日間連続で常用量の内服テストを施行したが, 皮疹は誘発されなかった。一方, タゾバクタム / ピペラシリンのパッチテストは陰性であったが, 1/2量を点滴投与したところ, 7時間後に発熱と淡い紅斑が体幹および下肢に出現し, これを原因薬剤と同定した。チオジグリコール酸は強酸であるため, 自験例のようにパッチテストで刺激反応を認めることが最近報告されている。カルボシステインによる薬疹を疑う際には, チオジグリコール酸のパッチテストのみではなく, できる限り誘発テストを行い確定診断をつける必要がある。

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© 2017 一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
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