日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌
Online ISSN : 2189-7085
Print ISSN : 1882-0123
症例
高用量のステロイド内服加療を要したメシル酸ガレノキサシンによる多発性固定薬疹の1例
三村 慶子中村 和子乙竹 泰佐藤 麻起森下 恵理河野 真純相原 道子蒲原 毅
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2017 年 11 巻 2 号 p. 169-174

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抄録

 26歳, 男性。咽頭炎に対しメシル酸ガレノキサシン (ジェニナック®) を含む複数の薬剤を内服した数時間後に発熱, 口唇腫脹および四肢, 体幹に多発する紅斑が出現した。固定薬疹が疑われ被疑薬を中止したが, 症状が悪化したためPSL 60 mg/日 (1 mg/kg/day) 内服治療を行ったところ, 症状は軽快した。また, 被疑薬3剤の貼付試験および薬剤誘発リンパ球幼若化試験はすべて陰性であったため再投与試験を施行したところ, メシル酸ガレノキサシン40 mg (1回常用量の1/10量) 内服後に高熱を伴う重篤な症状が誘発され, PSL 60 mg/日内服治療を要した。以上より, 自験例をメシル酸ガレノキサシンによる多発性固定薬疹と診断した。同薬剤による薬疹では, 自験例を含め多発性固定薬疹の報告が多く, 再投与試験により原因薬と同定される例が多かった。自験例では, 1回常用量の1/10量の再投与試験で重篤な症状が誘発された。今後, 本剤の再投与試験を施行する際には投与量に関する注意が必要と考えられた。

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© 2017 一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
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