日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会雑誌
Online ISSN : 2189-7085
Print ISSN : 1882-0123
症例
ヒト免疫グロブリン製剤静注療法が奏効した中毒性表皮壊死症の1例
藤盛 裕梨土井 知江亀井 理沙横見 明典
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2017 年 11 巻 3 号 p. 248-253

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抄録

 50歳, 女性。初診の1ヵ月前に脳動脈瘤, クモ膜下出血にて当院脳神経外科に緊急入院となり, 穿頭ドレナージ, 内頸動脈トラッピング術を施行された。初診の8日前よりランソプラゾールが経鼻胃管より投与され, 初診の3日前から体幹に紅斑が出現した。薬疹が疑われ, 薬剤が中止されたが, 全身に紅斑が拡大し, びらん・表皮剝離も認めたため当科紹介となった。初診時, 剝離面積は体表面積の36%に値した。腹部紅斑部位よりの生検にて, 表皮角化細胞の個細胞壊死, 基底層の液状変性を認め, 中毒性表皮壊死症と診断した。自験例では肺炎の合併が否定できなかったため, ヒト免疫グロブリン製剤静注療法を20g/day×5日間施行すると, 投与開始4日目より皮疹の拡大停止を認めた。後療法としてステロイド投与を検討していたが不要であり, ヒト免疫グロブリン製剤静注療法のみで治癒した。

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© 2017 一般社団法人 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会
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