日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
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ISSN-L : 1880-7666
原著
腹部超音波がん検診の精度とその問題点
水間 美宏渡邊 能行
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キーワード: 超音波, がん検診, 精度
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2011 年 49 巻 1 号 p. 55-61

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抄録

腹部超音波がん検診の精度を文献的に明らかにするとともに, 精度を明らかにする上での問題点について述べた。精度を示した文献を抽出するため, 医学中央雑誌WEB版とPubMedを利用するとともに, 日本消化器がん検診学会雑誌を閲覧した。抽出した文献ごとに, 感度, 特異度, 陽性反応適中度とその信頼区間を求めた。その結果, 腹部超音波がん検診の感度はおよそ80%, 特異度はおよそ95%, 陽性反応適中度は1~9%であった。文献によって腹部超音波がん検診の精度に差がある原因として, 人数の数え方, 対象臓器, 診断装置, 検者, 走査法, 検査時間, 記録法, 読影方法, 判定基準, 偽陰性の定義, 発見がんの定義が異なることがあげられ, その基準化が望まれる。また, 精度の把握方法も異なっており, 今後は, がん登録との照合が容易に行えるよう, わが国の地域がん登録の登録精度が向上することを期待したい。

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© 2011 一般社団法人 日本消化器がん検診学会
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