2023 年 35 巻 4 号 p. 452-455
今回われわれは不安定型骨盤輪骨折に遅発性精巣萎縮を合併した1例を経験した.症例は47歳男性,歩行中にトラックにひかれ受傷,当院に救急搬送された.明らかな骨盤動揺性があり,左鼠径部には挫滅創と皮下血種を認めた.不安定型骨盤輪骨折と診断,動脈塞栓術と創外固定を施行し,全身状態が落ち着いた第14病日に骨接合術を行った.術後経過中に左陰嚢の鈍痛と硬結を認め,泌尿器科での精査で遅発性精巣萎縮と診断された.現在,独歩可能となり精巣に関する愁訴もないため保存的に経過観察を継続している.