2023 年 13 巻 1 号 p. 1-6
本研究の目的は,骨量と筋量がともに低下する女性高齢者の運動機能の特徴を縦断的に検討することである。2018年と2019年に開催された体力測定会にともに参加した65歳以上の女性高齢者105名を解析対象とした。筋量低下の基準は四肢骨格筋指数が5.7㎏/㎡未満とし,骨量低下の基準はTスコアが-2.5以下とした。1年後の身体組成の状態から骨量・筋量低下群,筋量のみ低下群,骨量のみ低下群,正常群の4群に分け,ベースライン時の運動機能を比較した。さらに,身体組成別の4群を従属変数とした多項ロジスティック回帰分析を実施した。その結果,骨量・筋量低下群はBody Mass Index(BMI),握力,通常歩行速度が有意な影響要因として抽出された。これらのことから,骨量と筋量がともに低下してしまう女性高齢者は,BMI が低いこと,握力が弱いこと,通常歩行速度が遅いことに影響を受けることが示唆された。