転移性脊椎腫瘍の手術適応の判断において年齢に着目した検討した報告は少ない.今回手術を施行した80歳以上の9例を後ろ向きに検討した.術前平均3.6であったパフォーマンスステータスは術後平均1.9に改善した.術後平均フォローは412(71-920)日で6例が原疾患の増悪にて永眠,3例が現在外来フォロー中である.主要臓器に転移などなければ高齢であっても手術適応を検討すべき治療と思われた.
一般整形外科を訪れた初診時原発不明癌骨転移19例について,臨床像と骨転移診断プロトコルを用いた結果を検討した.原発がんは肺癌4例,前立腺癌4例,腎癌2例,悪性リンパ腫2例,大腸癌,胃癌,肝細胞癌,胆管癌,尿管癌,子宮体癌,原発不明それぞれ1例であり,骨転移診断プロトコル第一段階で15例(78.9%)の原発がんの診断が可能であった.既往がんのある8例中の5例は新規原発がんからの骨転移と診断された.
今回われわれは不安定型骨盤輪骨折に遅発性精巣萎縮を合併した1例を経験した.症例は47歳男性,歩行中にトラックにひかれ受傷,当院に救急搬送された.明らかな骨盤動揺性があり,左鼠径部には挫滅創と皮下血種を認めた.不安定型骨盤輪骨折と診断,動脈塞栓術と創外固定を施行し,全身状態が落ち着いた第14病日に骨接合術を行った.術後経過中に左陰嚢の鈍痛と硬結を認め,泌尿器科での精査で遅発性精巣萎縮と診断された.現在,独歩可能となり精巣に関する愁訴もないため保存的に経過観察を継続している.
53歳女性,2ヵ月前から誘因なく生じた右膝関節痛が改善せず当院を紹介受診した.可動域制限があり,画像検査で膝蓋下脂肪体内部に多数の骨化を伴う腫瘤を認めたが,脂肪体外部へ波及はしていなかった.関節鏡下手術にて関節内に腫瘤は確認できず,膝蓋下脂肪体を部分切除すると多数の白色腫瘤を認めたため摘出した.病理診断にて滑膜骨軟骨腫症の診断となった.術後1年で右膝関節痛および可動域も改善し腫瘍の再発も認めていない.
症例は転倒して右手をついた63歳女性.橈骨遠位尺側の横径6.2 mmの骨片を有するulnar split型の関節辺縁Colles骨折に対して,橈骨遠位掌尺側からと掌側からminiplateを2枚用いて固定した.転位なく癒合し,術後10ヵ月でMayo wrist scoreは85点,DASH scoreは11.6だった.尺側方向への転位を予防しえた尺側からのバットレスプレートは有用であった.
MRIで,帯状低信号域が大腿骨転子部まで及び,広範囲に壊死所見を認めた特発性大腿骨頭壊死症1例を経験した.腫瘍や感染の鑑別も要したが本症例では骨シンチグラムにて大腿骨頭壊死症に典型的なcold in hot像を認めたことより,骨シンチグラフィーは他疾患との鑑別に有用である可能性が示唆された.
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