2016 年 23 巻 2 号 p. 193-195
可動域制限を生じた上腕骨小頭骨折に対して授動術を行ったので,治療成績を報告する.症例は男性1例,女性2例,罹患側は右1例,左2例,受傷時平均年齢は46.7歳であった.術前平均可動域は屈曲103°,伸展-55°,回外51.7°,回内56.7°,qDASHは平均24.2点であった.受傷から平均12か月で授動術を施行し,術後平均観察期間は9.3か月である.平均可動域は屈曲124°,伸展-30°,回外81.7°,回内67.7°で,qDASHは平均3.0点に改善,Mayo Elbow Performance Scoreは全例excellentだった.上腕骨小頭骨折は展開が困難な関節内骨折であるため,治療には正確な関節面の整復が必要である.そのために3DCTを用い手術法を検討することが有用である.関節内骨切り術は術後骨壊死の可能性があり,疼痛の軽減とROMの獲得のための関節形成術などの代替療法が必要と考えられる.