2016 年 23 巻 2 号 p. 21-24
緒言:術後2週間の外固定期間により筋攣縮・筋短縮を生じ,関節可動域(ROM)制限を認めた肘関節疾患患者に対して,反復性等尺性収縮(IIC)が防御性収縮の抑制およびROM拡大に有用であった1症例について報告する.
対象および方法:51歳女性.転倒した際,右肘をつき右肘頭骨折,外側上顆LUCL付着部剥離骨折を受傷.ヘッドレススクリュー固定およびアンカーを用いたLUCL靱帯縫合術を施行し,術後2週間の外固定を行った後に積極的な肘関節運動および,IICを開始した.IICの効果を判定するため,シングルケーススタディを用いてROM・%MVCを分析した.
結果:ROM・%MVCともに第2基礎水準測定期で低下を示した後,第2操作導入期で改善を示した.
考察:IICは,術後の外固定期間により生じた筋攣縮・筋短縮に対して,防御性収縮の抑制およびROM拡大に効果的な治療法である.