日本肘関節学会雑誌
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Ⅱ.筋・腱・靱帯
上腕三頭筋腱皮下断裂に肘内側側副靱帯損傷を合併した1例
鈴木 歩実神田 俊浩大井 宏之
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2016 年 23 巻 2 号 p. 25-27

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抄録

 上腕三頭筋腱皮下断裂に肘内側側副靱帯損傷を合併した1例を経験した.症例は17歳男性,サッカー部所属のゴールキーパーである.セービング後に左手掌を強くついてから左肘痛を自覚し,受傷翌日に当科を初診した.肘頭部から内側にかけて著明な腫脹と圧痛があり,重力に抗した肘関節自動伸展が困難であった.単純X線では側面像で肘頭部に小骨片を,外反ストレスで内側関節裂隙の開大を認め,MRIでは上腕三頭筋腱の完全断裂を確認し,受傷2日目に手術を施行した.上腕三頭筋腱,内側側副靱帯ともにスーチャーアンカーを用いて修復し,術後1週間より段階的にリハビリテーションをすすめた.術後6か月で競技復帰し,術後1年2か月の時点で自動可動域は伸展5°/屈曲145°,不安定性や伸展筋力差もなく経過良好である.上腕三頭筋腱皮下断裂はそれ自体も見逃しやすい損傷とされているが,合併損傷の評価も忘れないよう注意が必要である.

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